すべての行動が性格から表れるという訳ではない
人は他人の行動を観たとき、それがその人の性格から現れる行動だと考えがちです。ゴミをポイ捨てするのはマナーがないからだと考え、遅刻した人はズボラで意識が低いからだと考える。世の中には『相手の性格を行動から見抜く方法』が山ほどあって、行動には性格が表れると説いています。この意識の方がどうやら大多数で、性格から行動はほぼ確定する、ということのようです。人の内部に問題があると考える。
しかし、自分の行動を鑑みるときは状況から表れる行動だと考えがちです。ゴミをポイ捨てするときは近くにゴミ箱がずっとなかったのにゴミを持ち込めない場所に入ろうとしているからだ、などと考え、遅刻した時は前夜の仕事が遅くてどうしても起きられなかった、電車が混んでいて遅れた、などと、『そうせざるを得ない状況だった』と考える。これでは性格から行動は確定しないこととなり、人の外部に問題があるという考えのため先程の考え方と異なります。
性格か状況か、行動を決めるのはケースバイケースなのでしょう。性格によって表れる行動もあれば、状況下によってやむない行動もある。
人の行動の結果を鑑みるときに性格による結果だと考えると、どうしても属人的になり状況に対する思考に至らない。にも関わらず、自分に対してはできる状況への配慮が他人にはできなくなる傾向があるのです。問題だと思われる行動が解決しない理由はそういうところにあるのではないでしょうか。他人の問題だと思われる行動を観た時に『その人の性格がダメだから問題が発生している』と決めつけてしまってはいやしないでしょうか。
私自身を顧み周囲の人間を観てそうだというだけですべての人がそうであるという訳ではない、というエクスキューズを入れさせていただき、締めのご挨拶とさせていただきます。
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