ジョジョ未読の徒が『ジョジョの奇妙な冒険』を読み始めるなら第何部からがよいか
最近登録したTHE INTERVIEWSの方で『JOJOが好きであるとTwitterでよく話されていますが、未読の方に勧めるとしたら第○部を読ませますか?』というご質問を頂いて回答させていただき、まだジョジョを読んだことがない生命体がこの世に存在したのかと衝撃を受けたのですが、そら人間何十億といれば何人かはそういう人もいらっしゃるでしょう。そういう人にもジョジョの面白さを伝えなければならない、これはかなり大事なことだと思いますのでこちらのブログの方にも載せておきたいと思います。
かなりざっくりしているので、とても短いものではありますが。参考になればディ・モールト・ベネ!*1。
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良いインタビューですね! それでいてとても難しい問題です。何故ならば、ジョジョはどこから読んでも面白いからです。
『ジョジョ』の最大のテーマは『人間讃歌』であり、裏には『繋がっていくもの』というメッセージが長く横たわっています。すべて繋がっている。ですので、全部読んで欲しい。
とは言え『ジョジョ』は既刊100巻を越える一大サーガです。面白みを感じるポイントに到達するまでに人によっては時間が掛かるかも知れません。ですので、各部でお勧めポイントを説明させていただきたいと思います。どの部を読んでもジョジョラーが好んで引用する名言は出てきますし、ジョジョ立ちしてますから安心してお読みください。
勿論、どこから読んでも面白いですけれどね。
第一部『ジョナサン・ジョースター ―その青春―』
初代ジョジョ、ジョナサン・ジョースターの物語。
舞台は19世紀のイギリス、切り裂きジャックが跳梁跋扈していた頃の話です。謎の石仮面と吸血鬼をめぐる伝奇的なストーリーで、この頃の物語がもっとも「真紅のロマンホラー」というサブタイトルに似つかわしかったのではないでしょうか。冒険要素も最も強く感じられます。
この初代ジョジョにて登場したDIO(ディオ・ブランドー)が『ジョジョ』における物語の軸にあり、常に「ジョジョの血統 vs DIO」という構図がバックにあります。根幹をなす部分ですので、是非とも抑えておいていただきたい部分です。
連載開始が1987年ですので、絵柄が今とかなり異なっています。当時のメインストリームだった原哲夫氏に代表される劇画調マッチョで、マッチョが嫌いでなければお楽しみ頂けるのでは、と思います。吸血鬼が題材ですから、ホラー系のグロテスクな描写なども目立ちますので、女性にはあまりお勧めできないかも知れません。
【こんな人にお薦めしたい】『ジョジョ』に真剣に取り組んでみたい・多少グロくても大丈夫・ホラー好き・冒険好き・英国紳士
第二部『ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統―』
ジョナサンの孫、ジョセフ・ジョースターの物語。
1938年のニューヨーク、第一部から50年後の話です。第一部で登場した『石仮面』とはなんだったのか……という謎解き(?)がおこなわれます。第二部では『柱の男』という謎の生命体との戦いが描かれています。
物語の進行ですが、第一部ではジャンプ王道の「負けかける」→「修行する」→「純粋に強くなる」→「勝つ!」というストーリー展開でしたが第二部ではもう少しトリッキーになります。それは『柱の男』の強さ故なのですが……
通常のジャンプ漫画では割と割愛されがちな『修行シーン』がしっかりと描かれているのもまた魅力的です。数週間密室に閉じこもっていたらなんか急に強くなった、というような謎理論ではないのです。
第二部で出てくるアントニオ・シーザー・ツェペリは第一部に出てきたツェペリ男爵の孫です。その数奇な運命と格好良さにも胸打たれます。
第一部から続く波紋編の完結でもあります。波紋編、短いなあ。第二部から読むなら第一部から読んだほうがいいです。そんなに長くないですし。
【こんな人にお薦めしたい】二世タレント・伊達男・ドイツ軍人・完璧超人
ジョジョの奇妙な冒険 1~7巻(第1・2部)セット (集英社文庫―コミック版)
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第三部『空条承太郎 ―未来への遺産―』
ジョセフ・ジョースターの孫、空条承太郎の物語。
空条承太郎 is ミスターパーフェクト。最強のスタンド・スタープラチナを持ち、自身も最強の精神力と肉体を持つ完璧超人。そんな空条承太郎さんの大活躍が読めるのはジョジョだけ!
というわけで、ジョジョと言えば『スタンド能力』というイメージが強いのですが、その『スタンド能力』が描かれ始めるのがこの第三部です。
スタンド能力が描かれ始めてすぐですので、能力もそれほどトリッキーなものは出てきません。単純な強さやほんの少し変わった能力が描かれているだけですので、割と馴染みやすいと思います。この後も触れたいと思いますが、後半につれ「えっ、なんでそんなことなんの??」みたいなスタンド能力が頻出するようになります。ですので、この第三部から読み始めて『スタンド能力について細かいこと考えたらあかん』ということを少しずつ頭に叩きこんでスタンド慣れしていくことをお勧めしたいと思います。
絵柄的には漫画調に変化しつつある部です。それまでの劇画調な絵柄が苦手な人でもお楽しみ頂けるのではないでしょうか。
【こんな人にお薦めしたい】能力系少年漫画が好きな人・スタンド使い
ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 8~17巻(第3部)セット (集英社文庫―コミック版)
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第四部
空条承太郎の叔父、東方仗助の物語。
日本の架空の地方都市・杜王町を舞台とした、サスペンス・ホラーです。
テーマが「日常に潜む恐怖」であり、また「人間の弱さを武器に変えたもの」として『スタンド能力』が描かれます。
よって、全体的に話が小さくなります。冒険してる感じは減ってしまいます。ただ日常感がかなり強く、正体不明の殺人鬼の存在感が一層リアルで怖いものとなります。
第三部で華開いた『スタンド能力』ですが、この辺りから急激にトリッキーな能力が増えます。その分戦闘もやはりトリッキーで手に汗握る攻防が楽しめます。こんなピンチどう凌ぐんだ?! という状況から、持てる能力とその場の環境を使って切り抜けていく。解決したときの痺れ具合は第三部までよりも高いです。
第四部は「ジョジョの血統 vs DIO」という軸線から少し外れていますので、第三部までを知らなくてもお楽しみ頂けると思います。むしろ、絵柄も漫画調になり舞台も日本ということで、最も読みやすいかも知れません。
【こんな人にお薦めしたい】ジョジョ初心者・リーゼント・殺人鬼
ジョジョの奇妙な冒険 18~29巻(第4部)セット (集英社文庫―コミック版)
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第五部『ジョルノ・ジョバァーナ ―黄金なる遺産―』
DIOの息子、ジョルノ・ジョバァーナの物語。
第四部から数年後、イタリアを舞台にしたギャング・ストーリーです。
第四部までの主人公たちは一様に真面目だった訳ですが、ここに来てワルな魅力を持ったジョルノが主人公となります。ワルでありながら、爽やかで正義感に満ちた人物。これだけでまず魅力フルですね。
更に、この第五部で超人気人物「ブローノ・ブチャラティ」が登場します。彼がマジ格好いい。中間管理職の鑑。ブチャラティの格好良さの説明だけで一日が終わるくらいに格好良い。なんというか「物にジッパーを付ける」という能力だけであらゆる敵と戦いきるのが格好いいです。まず自分が能力に目覚めて「物にジッパーを付ける」だったらどうでしょう? 私は銭湯の覗きくらいしか有効活用方が見いだせませんでした。ところが、ということです。その辺は、読んでいただければ解ると思います。
第五部を語る上で大事なのが、ジョジョシリーズのテーマである「人間讃歌」とそれに関連して「繋げていくことの大事さ」がこれでもかというくらい描写されるということです。これに関しても、一度読んでいただきたい。
熱く格好良い人物たちがまさに命懸けで殺し合いをする、スピード感に溢れた部となっております。私個人としてはこの第五部が最も面白くプッシュしたい、とそう思っております。が、最初に読むとなると……スタンド能力について解りづらく読みづらいかも知れません。先に第三部か第四部を読んでおくことをオススメシマス。
【こんな人にお薦めしたい】ギャングスター
ジョジョの奇妙な冒険 30~39巻(第5部)セット (集英社文庫―コミック版)
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第六部『空条徐倫 ―『石作りの海』(ストーンオーシャン)』
空条承太郎の娘、空条徐倫の物語。
2011年のアメリカが舞台です。とある人物の罠によりグリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所にぶち込まれ、その刑務所の中で成長していくというストーリーです。
第六部は特に、アメリカのアクション映画のような雰囲気と世界観になりますし、シュワルツェネッガー氏が出てくるようなアメリカ映画が好きな人には馴染みやすいのではないでしょうか。
バトル漫画としては、第五部同様にスピード感が溢れており、トリッキーな能力は少ないものの、基本的な能力をトリッキーに使う、という見せ方に変化していて「楽しさ」と「読みやすさ」が同居しています。ただ、いきなりで理解できるかは不明ですが。
「ジョジョの血統 vs DIO」という構図は、この第六部で一旦の終焉を観ます。長い長いサーガが一度完結する、それがこの第六部です。ですので、出来ればもっと前から、第六部を読まれるのでしたら、まず第一部からしっかり読んでいただいたほうが楽しめるのではないか、そう思います。
最後まで読み終わった時の達成感、是非とも味わっていただきたいと思います。
【こんな人にお薦めしたい】ザ・ニュー神父、最近時間が過ぎるのが早く感じるぜという人、囚人
第六部には、第五部と同じく「繋げることの大事さ」という裏のメッセージがありますが、それとは別にもうひとつメッセージがあります。その話はまた別の機会に。
ジョジョの奇妙な冒険 40~50巻(第6部)セット (集英社文庫―コミック版)
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第七部『スティール・ボール・ラン』
1890年のアメリカでおこなわれたという、世紀の大レース『スティール・ボール・ラン』を舞台にした物語です。ジョジョ終わったんちゃうんかい! という声を無視しての再登場です。
そう、ジョジョは一旦終わりました。ですので、出てくる人物たちはそれまでの第六部までに出てきた人物たちとはまったく何の関係もありません。
バトル的には『謎の鉄球』というスタンド能力とは別の概念が出てきます。んな無茶な! という鉄球の能力ですが、慣れてくると面白いもの。細かいことを気にしない、広い心を持って読んでいただければと。そして、スタンド能力を持たない人がどのようにして戦うのか、是非とも観ていただきたい。馬でのレースが舞台となっていますので、全体的にバトルとレースが入り交じります。馬上の戦闘も多く、冒険している感があってワクワクします。
心機一転ということで描かれていますので、第六部までを読んでいなくても新規に読みやすいです。
主人公は「ジョニィ・ジョーキッド・ジョースター」のはずなのですが、何故か準主役の「ジャイロ・ツェペリ」の方が主役かのように描かれていて、主人公が特に不遇な部でもあります。
【こんな人にお薦めしたい】ジョッキー・細かいことを気にしない人
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