「二七五三六番、これより法に則り刑を執行する」 白塗りの壁に声が反響する。背後の分厚い扉が、がちゃりと音を立てた。鍵が掛かったのだろう。 目の前には無機質な質感の椅子があり、椅子には目を閉じて男が座っていた。せいぜい七、八メートル四方と思わ…
「君って、初対面の人が居ると全然しゃべらないよねえ」と彼女は言った。ああ、人見知りするんだよ、と僕は返す。 周囲の喧騒で少し声を張り上げないと聴こえない。これぞ安居酒屋といった風情なのでムードもあったもんじゃないが、一応はデートのつもりだ。…
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