伝えやすさのために犠牲になること
情報や考えたことなどをうまく伝えようとすると、どうしてもトレードオフになることがあります。
ブログを書く上でだけでなく、通常のコミュニケーションでも発生することです。
伝えるために大事なこと
物事を伝えるために大事なのは、まず「伝わること」です。良いことを言ってても、伝わらなければ意味がない。だから、求められるのは「伝わりやすいこと」であり、その為に「解りやすい」ことが必要です。解りやすくするためにはアプローチが2種類、「シンプルにすること」と「例えを使うこと」があります。文章が長くなるので、以降『単純化』と『比喩』と表現します。
『単純化』は、そのとき伝えたいことの本筋以外を全て切り落とす行為です。出来るだけ不要なことは削ります*1。不要なことを削り落として単純化することで情報量が減るため、相手が受け取りやすくなります。例えば、近所のコンビニの場所や駅から飲み会会場までの地図を描くとき、スタート地点と目的地、目印くらいしか必要は有りません。途中に木が何本植わっていて、とかは不要です。と言うよりそんないらない情報が入ってると読みづらくなってしまいます。解りやすい目印を的確に抜粋するのが、『単純化』と言えます。
『比喩』は、考えていることや情報を、似た何かに例えることです。手前味噌ですが、ひとつ前のエントリーで「学生生活と社会人生活」を「ドラクエとトルネコ」に例えてみました*2。このように、何か別のものを使って相手の中のイメージを膨らませる、というのが『比喩』です。『比喩』を使うと、伝える言葉を少なくして相手にイメージを想起させやすくなります。
「解りやすい」ことの問題
前述の『単純化』と『比喩』ですが、これにもやっぱり問題はあります。
まず、『単純化』をするためにはどうしても切り捨てないと行けないことがたくさん出てきます*3。『単純化』をするというのは、例えるならMP3やJPEGなんかの不可逆圧縮に似ています。音質か画質かの違いはありますが、情報量を減らすために質を犠牲にするという点で共通しています。
また、『比喩』は相手の中のイメージに委ねることになります。出来るだけ共通したイメージを使って伝えようとするわけですけど、それでも多少のズレは発生してしまいます。また、伝えたいことと例えが必ずしも100%合致するものではありません。相手とのイメージのズレがあってどう受け止められてるかは解らない、伝えたい事が完璧に相手の脳内で再生されるか解らない、というのが『比喩』の問題点です。ブログでは相手の顔が見えづらいですから、このズレは酷いものになるでしょう。
どちらも「解りやすい」ことを重視したために発生する問題です。「解りやすい」ことを重視すると「正確性」が失われてしまうのです*4。
問題を緩和するために
幾ら伝わりやすいようにしても伝わらないことはある、というのを認識することです。そしてその認識の上で、自分の思うことを様々な角度・粒度・例えでまとめることで伝わりやすくなっていくと思います。ブログをマメに更新する意味は、その辺にあるのかも知れません。
自分なりに「伝わりやすい」を目指して情報のパケットを作り、それを相手に合わせて順次手渡して行くというのが大事です。