事業仕分けはやらなかったほうがよかったのでは、と思う理由
まあ、一番の理由はあれが予定調和だろうからってことに落ち着きそうですけど。それだと芸が無いですから、ちょっと真面目に掘ってみます。
とは言え、知識が少ないので、軽く撫ぜる感じです。主導が財務省だったから事業内容に偏りがある、などいろいろ思うところはありますが、論点と違うので本文に入れないことにします。
目的を違えている
ポイントは、これが「予算確保をするため」を目的にしている、と、この一点に尽きると思います。そもそもである「国益を増大させるため」という政治の目的を忘れている。手段のための方法になっている。つまり、優先すべき軸が違えてしまっているんです。これがまず一番の失敗です。何のためにやるか?という大前提がおかしいのですから。
プレゼンの機会が無い
今まで、本当に必要なのか?どういったことに予算が使われているのか?どんな効果があるのか?という効果測定や検証がおこなわれることなく予算割り振りがされていた。これは大きな問題です。
ならば、だからこそ、この件に関しては研究者がプレゼンをする、などの時間が必要でした。プレゼンで無いとしても、効果を測定するための活動が必要だった。なぜかというと、参加してる人間が「なぜここに予算を入れなければ成らないか?」が解らないからです。その情報なくして予算配分を切るということは、貧乏家族のお母ちゃんが「今は家庭も厳しいし、あんたにやれる小遣いはないよ!」って言って言い分も聞かず仕送りを止めてしまうようなもんです。それで学費が払えなくなったら?笑い話にもなりませんよね。
ちゃんと情報を集める。その上で不要だと判断するのなら良いのです。今までは出来てなかった。だから、変えるとしたらそのシステムを作るのがまず妥当な策です。何でもかんでも『良く解らない』のに「必要」「不要」と切り捨てることがおかしいわけです。
優先度を正しくつけられる人が居ない
優先順位を付けるために『緊急性』と『重要性』を分けるという考え方があります*1。緊急かつ重要であるならば率先しておこない、緊急でも重要でもないことはおこなわない。そういう考え方です。ここまではとても明確。では、「緊急だが重要ではない」と「緊急ではないが重要」が現れたときにどうするか。
通常は「緊急だが重要ではない」を優先して、「緊急ではないが重要」を先延ばしにしてしまうものです。なぜなら、重要非緊急には「すぐやらないと」というプレッシャーが無いから。これは、自分が詳しいジャンル以外のことであれば誰でもハマるものです。ですが、もっとも大事なことは「緊急ではないが重要」な事をどれだけこなせるか、です
現状、議論を練る時間も短く情報も殆ど無い。この状況で重要性と緊急性を自分の知識範囲外のことで正しく判断できるとは到底思えません。しかも、目的は予算確保ですから、今必要なさそうなものに目がいくのは当然。そうなると、この数日で決定したものはなんだったのか?となるわけです。もしかしたら、今後のために重要だったものまでも一緒に切ったのではないか?と。そうなると「やらなくても同じ」ではなくて「やっただけマイナス」になるんです*2。
それを踏まえた上で、やっただけよかった、という意見を見ると、それはちょっと言いすぎではないですかね、と思うわけです。事前準備が明らかに不足しているのと、前提が大きく間違っているのですから。