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じゃがめブログ

毒にはなるが薬にはならない、じゃがいもの芽のようなことだけを書き綴るブログです。

坂本真綾 7thアルバム『You can't catch me』のちょっとした感想

坂本真綾さんの7thオリジナルアルバム『You can't catch me』が発売になったので、簡単に感想を残したいと思います。
各作詞・作曲についてはこちらの特設サイトをごらんください

You can’t catch me(初回限定盤)
坂本真綾
フライングドッグ (2011-01-12)
売り上げランキング: 12

各曲について

M01.eternal return

末光篤さんによるピアノポップな一曲。爽やか軽快で、意識を一気にアルバムの世界に引っ張り上げてくれます。1曲目の役目は見事に果たしていますね。
歌詞は真綾さんによるもの。好きな女の子を諦めきれない男の子の心情。刺さりすぎますw 歌詞は結構切ないのだけど、末光篤さんの軽快な曲に乗ってるからベタっとしない。これ、かの香織さんの曲に載せてたら重くて聴きづらかったかも知れないですね。この組み合わせは見事。

追記。よくよく聴いて見ると、諦めきれないのではなく、気持ちを抑えられない、ですね。そのほうがしっくりきます。

M02.秘密

PVもありますし、実質上のタイトル曲。
作曲は柴田淳さんなのだけれど、プロデュースを渡辺善太郎さんがやってるからか、いつものシバジュンっぽくないw アレンジ次第で幾らでもシバジュン世界になりそうですけれど。
作詞は真綾さん。この歌詞は捉え方が難しいなあ……。「偽善者」「吐き気」「醜い」「痛み」という言葉選び、シバジュンワールドに引っ張られたのでしょうか。「始まってないのに終わるのが怖くって/失うものの数だけ数えている」「優しいふりして笑ってる 自分に吐き気がしてるわ」が三十路のオッサンに刺さります。

M03.DOWN TOWN (TVアニメ「それでも町は廻っている」OPテーマ)

往年の名曲のカバー。先行シングルから収録。
シュガーベイブが「空いた夜の首都高のドライブでひとり」なら、このバージョンは「みんなでクラブでワイワイ」のイメージ。プロデュースは安心の服部隆之さん。
まったく文句なしの一曲なのだけど、オリジナルアルバムの中で不意にカバー曲なのでちょっと浮いてるような気がしてなりません。

M04.美しい人 (“「遣唐使船」再現プロジェクト”テーマソング)

配信で既に販売されていましたが、これはCDで聴くべき。
最近、かなりポップに寄っていってた感のあった菅野よう子さんの、真骨頂的逸曲。なんというか、菅野節が炸裂。CDで聴けて良かった。何度聴いても泣きそうになります。『愛の輪郭』や『奇跡の海』にアジアンテイストを足したような。ま、ジャンル分けする意味も無いのですけれど。
で、この歌を聴いて『いいね!』と思った人は上述の『愛の輪郭』や『奇跡の海』も聴いてみて欲しいです。

M05.キミノセイ

『美しい人』でゆっくりと落ち着いた心臓を、グッと握られるような繋がり。スネオさんの爽やかさも良いですね。ここから次曲の『ゼロとイチ』までハイパーさわやかタイムであります。
「Bメロでクサくなりすぎない感」と、2回目のAメロからBメロのテンションにヤラれてしまいます。ストリングスアレンジもヤバいなーと思いつつ、ライナーを観ると河野伸さんとのこと。やっぱり河野さんとはなんか縁があるなあ(こっちから一方的に)。
歌詞は渡辺健二さんによるもの。「やわらか過ぎる感情引き裂いて/いっそ全部引き裂いてくれたなら良かったのにね/もう戻れない」の辺りが一瞬引っかかるけど、そのうち腑に落ちるかな。サラっと聴いて耳に馴染ませる。
単純に、聴いてて心地が良いですね。

M06.ゼロとイチ

溢れ出過ぎるスキマスイッチ感ww
「ゼロとイチ」はデジタル機器、つまりメールと電話のことで、要するに遠距離恋愛中のふたりの話。この手の切なさを描かせたらアフロのセンスがキラめく。アフロなのになあ……。
遠距離恋愛をテーマにしてるということから、スキマスイッチの『奏』のアンサーソングというか、後日談みたいだなあと妄想してみたりして楽しんでみる次第。
「会えない時間が恋を/強く結んでくれるって/そんなのウソなんだよ/触れたい」の辺りの音は、スキマスイッチ像とちょっと違っていて「おっ?」と良い意味で引っかかり。

M07.みずうみ

別れの歌かあ。こう言う歌詞も真綾さんは書くようになったのねえと、しみじみ。この歌詞は男性目線な気がしますね。女性が思う男の子目線っぽいです。
曲は、かの香織さん。素晴らしい安定感。けどこれシングルで出しても売れないだろうなあ……。今さらながら、『雨が降る』をシングルで出したのは凄い判断だと思ってしまった。
強く印象に残る歌という感じでもないですが、何故か聴いてしまう。じんわりと、何故かノスタルジックな、懐かしい気持ちになります。なぜだろう?

M08.stand up, girls!

なぜ不意に60年代アメリカンポップスなのかw
歌詞が女子力全開。これ、ほんとに真綾さんが書いたの? って言うくらいこれまでの真綾さんのイメージとズレます。その辺で一瞬戸惑いがありました。慣れましたけど。
いや、この曲の不意さにはやっぱりまだ慣れてないw

M09.ミライ地図

真心ブラザーズ桜井秀俊さんによる作詞作曲。
結構な年齢の男性が書いたとは思えない、やたらに青々しい恋愛の歌。付き合いたてか、付き合うちょっと前の少年少女っぽい感じですかね。「だんだん遠ざかる青い日々」だから20代中盤くらいの話なのかな? 甘酸っぱさで顔面が真ん中にキューって寄りそうですw
サビで縦ノリしてる自分に気付いて少し驚いたり。
ストリングスアレンジに村山達哉さんで安定。また、エレギにフジファブリックの山内総一郎さんが地味に(?)参加。

M10.ムーンライト(または"きみが眠るための音楽")

この歌詞を真綾さんが書いた、というのは感慨深いですね。
これまで「等身大の女性の言葉」「ありふれない恋の物語」「大人になろうとする少女の話」を作って来た*1真綾さんが「大人の女性として、少女へ」のメッセージで詩を書いた、ということが。「きみがおとなになっても/未来は未来のまま/本当に知りたいことを教えられる人はいない/ごめんね」に、真綾さんの「等身大の大人」が出ているような印象です。この曲は「I.D.」のように、真綾さんの一つのマイルストーンになるのではないのかなあ、と密かに思っていたり。あと、「窓を叩くムーンライト」という詩のセンスはやっぱりさすが。

曲はキリンジの掘込高樹さん。こういう曲調好きだなあ。おっ、と思ってライナーを観たら、アレンジに冨田恵一さん。単純にマジタイプです。

M11.手紙

真綾さんが猫を演じる映画「キミとボク」の主題歌っていう予備知識を入れて聴いたせいで、もうそのイメージばっかり浮かんだり。とは言え、安易なキャラクターソングみたいになっていない辺りが良いですね。
曲は北川勝利さん。そうか、北川さんってこんな曲も書く人なのか、と。

M12.トピア

ファンクラブの会報にも「ふるさとのシンボル」として挙げている東京タワーをひとつのモチーフに。トピアとは、ユートピアのこと。
『everywhere』で「帰る場所」について歌った訳ですけど、この『トピア』では「帰る場所」を具体的に「あなたの隣」としている。人生歌的なやや抽象的だったイメージより、恋愛に少し寄った歌。この辺も真綾さんの変化なのでしょうか。
作曲を矢吹香那さん。失礼ながら存じませんでした。覚えておこう。アレンジは河野伸さん。またもツボ。こう言う、東京の夜を想像させる曲を冬に聴くのはヤバい。
曲調のせいか、安藤裕子さんの『Merry Andorew』を彷彿としたりなど。

アルバムとして

一曲一曲がどれも「ザ・○○(○○には楽曲提供してくれたアーティストを入れて)」といった曲で、方向性は全部がテンでバラバラ。ただ『真綾さんが歌っている』ということがベースとして強く活きてるので、不思議と纏まっているような気がしてきます*2

CDの売り文句でもありますが、柴田淳常田真太郎キリンジ末光篤スネオヘアー鈴木祥子かの香織冨田恵一矢吹香那桜井秀俊河野伸(敬称略)といった個性的で豪華な取り揃えは凄い。色々な鮮やかな衣装を使って真綾さんに着せ替えをするかのようなアルバム。5thアルバム『夕凪ループ』辺りから模索していたものの、一つの到達点なのかも知れません。

曲ごとにカラカラと変わってしまう真綾さん。ベースは真綾さんでありながら実像が掴めない。なるほど、これは確かにYou can't catch meだな、と思いつつ、感想終わり。

追記

初回版はかの武道館ライブ「Gift」より6曲と、河野伸さんピアノ+真綾さんボーカルの「everywhere」が収録されています。everywhereにはコーラスが入っているのでアコースティック感薄いですが、聴き応え有ります。特にライブ映像を持ってないなら初回版購入をお勧めします。

追記2

ゲーマーズ秋葉原で初回版を購入するとA3ポスターが付いてきました。タワレコだと別の種類でポスターが付いたとか。店舗で買うのでしたら、それらの店舗がお勧めです(もう無くなったかなー?)。


*1:菅野よう子さんの作った世界で真綾さんが演じた、が正解かも知れません。

*2:DOWN TOWNはやっぱり未だに浮いてるように思う……w