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じゃがめブログ

毒にはなるが薬にはならない、じゃがいもの芽のようなことだけを書き綴るブログです。

あるキング/伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さん、単行本16作目。私的評価は★★★☆☆(星3つ)でございます。

あるキング
あるキング
posted with amazlet at 09.09.05
伊坂 幸太郎
徳間書店
売り上げランキング: 105
おすすめ度の平均: 3.5
3 多くを望め、多くを望むな
3 確かにいままでの作品とは違う。でもやっぱり伊坂幸太郎
3 絶対という物語
3 異作
3 あらまぁ!

総221ページ。結構あっさり読めます。私は2時間くらいで読めました。

読み終わってみて、まずの感想は「伊坂さんらしくないな」でした。それは、今までの作風と違っているというだけで、良い・悪いということではありません。ただ、今までの伊坂さんの作風を求めて読み始めると、あれっ?と首を捻ることにはなるかも知れません。

主人公は野球選手。『王』としての活躍を求められる天才打者・山田王求(おうく)。横に並べたら「球」になる冗談のような名前の主人公を中心として淡々と起こるファンタジックな物語がこの『あるキング』です。
この作品での主人公は、大きな冒険に巻き込まれたりするような主人公然とした活躍は殆どありません。ただそこに、王として、天才打者として居続ける、そんな存在です。そこにはなかなか爽快さは生まれず、少しモヤっとした感じが残るかも知れません。逆に、淡々と読めるのが良い、という感想の人も居るかも知れません。読み手次第の部分なのでなんとも言えませんが、既存の伊坂作品ファンだとその辺りのモヤっと感に違和感を感じるのではないかな、と思います。

文章としては相変わらず流石だなと思わされます。構成力と言うのでしょうか。見せ方が巧い、と言うのはこう言うことなのでしょう。細部に関してもきっちり詰まっている。伊坂さんは元システムエンジニアとのことですが、こういう文章が書ける人はシステムエンジニアとしても優秀だったんではないのかなあ、と勝手に想像したりもします。
全体的に、マクベスジュリアス・シーザーと言ったシェークスピア作品のオマージュや台詞の引用が見られます。その辺りを予め読むなりして知っていると、楽しめる幅が少し広がるのではないでしょうか。

どうしても既存作品と比べてしまうために、私の評価は星3つでした。少し時間を置いて読んだら変わるかも。

余談

まったく関係ありませんが、読んでいる最中に何故か『ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師』と言うライトノベルを髣髴としました。
圧倒的天才の主人公を巡っての周囲の物語を寓話のように描いた、と点で似ているからでしょうか。
こちら作品は、私的に星5つです。ライトノベルの中でも普通の娯楽小説に近いと思うのですが、どうしてもそのジャンルゆえに表舞台で売れることは無かったようです。

ブギーポップ・ミッシング ペパーミントの魔術師 (電撃文庫)
上遠野 浩平
メディアワークス
売り上げランキング: 138447
おすすめ度の平均: 5.0
5 ほんとに魔法のような作品でした。
5 『心の痛み』を描いた作品
5 ☆5つでは足りないっ!!
5 ミントチョコの深い味わい
5 この感動は外せない