見積もりと進捗と完了予測について
こういうことが、よくあります。
Q.10人日と見積もっていたタスクが、開始から5日経過段階で達成度30%だった。そのタスクは何日遅れるか?
これを『2日』と考える人は、そこから毎日ガントチャートを修正するリスケマシーンになるでしょう。
『2日』が出てくる原因は、こういう考え方でしょう。10人日の工数のうち30%である3日分を消化したが、そのために5人日使用した。ということは2日多く掛かっている。よって2日遅れである、と。ガントチャートで見ると、確かにイナズマ線では2日分後ろにヘコみますから、2日のように錯覚する。
だが、それが違う。
何が違うかというと、暗黙的に裏にある「残り70%の作業をこなすのに掛かる日数が7日」という部分。当初の見積もりでは10人日なのだから70%だと7人日だろう、という発想ですよね。それが間違い。
なぜなら、当初の見積もり自体が誤っているから。何故かって、そこまでで30%こなすのに5日掛かってるんでしょう。ということは、そのタスク自体が思ってたより大きかったんですよ。このタスクに本来係る工数は100/30*5で、約16.7人日なんです。ざっくり17日。その5日経過した段階での情報で見積もり直すと元々の予定より7日遅れることになる。2日遅れと7日遅れではまったく異なると思いませんか?
どんなこともやってみないと、どれくらい係るか正確にはかることはできません。工業製品の見積もりではないので。ある程度の目安で、決められた計算式で出すことはできますが、当てることはできない。だから、実際に作業をしている途中で得た経験で見積もりを出し直さないといけないわけです。
ガントチャートを修正するというのは、その実際と見積もりの齟齬を埋めてやる必要のある作業なのです。ですが、多くの人が上記のシチュエーションで「2日遅れ」としてずらそうとする。そうなったら最後、これ毎日同じようにちょっとずつズラしていくことになります。そうしてるうちに、予定とぜんぜん違うじゃないか! となるわけですね。
最初に出す見積は、紙上で計算して、ある程度の目安にしたりコスト計算をして予算作成をするために必要なものではあります。が、細かいところでの実際の工数にはまったく合わない。まずはその認識が必要です。
ポイントは、最初の見積もりを疑うこと。実際に掛かりそうな工数を常に計算して把握すること(今遅れている分だけを引けば良いというものではない)。大きくズレる場合は大きな問題が潜んでいる可能性があるため早く対処すること。
細かいことではありますが、こういう細かいことの積み重ねでプロジェクトをデスマにしてしまうかどうかが決まったりするのです。