ときには俯瞰して引く勇気を
大手居酒屋チェーン「和民」の社員の自殺に労災認定が出たこと、そしてそれを受けた渡邉美樹氏の発言で、久しぶりにTwitter界隈ではブラック企業についての話題で盛り上がっています。
観ていると、過労で自殺するという感覚が良く解らないという人も多いようですね。実際なってみないと解らない部分もあるとは思うのですが……。過労から心を病む流れには幾つかパターンがあると思うのですが、私が過去に経験した流れをご紹介しておきたいと思います。
私の場合は、こんな感じでした。
勤務時間が増える
→時間が取れない
→勉強する時間が取れない
→将来に不安を感じる
→病む
→趣味などが出来ない
→プライベートでの人間関係に支障をきたす
→日々が楽しく過ごせない
→病む
→睡眠時間が少なくなる・運動できない
→体調を崩す
→体調が崩れることで精神のバランスを崩す
→病む
→勤務中に集中できない
→叱責を受ける
→病む
→遅刻をすることがある
→叱責を受ける
→病む
→心身を壊しているにも関わらず病院にもいけない
→悪化する
→不安になる
→病む→貴重な時間を使って病院に行く
→お金を失う
→不安になる
→病むことで未来に渡っての不安が生まれる(ここが無限ループ)
→もうダメだ
心が病むと、目先の不安が巨大化して見えます。不安が大きく見えるということは、視野の殆どが不安で占められるということであり、つまりは他の「楽しいこと」や「生きがい」が見えなくなるということです。人生、意外となんとかなるもんだよ、という楽観的な意見もまったく見えなくなってしまうのです。
つまり、ブラック企業だからすぐさま自殺という突拍子も無い事が起こってるわけではないのです。ここを、自殺する人の精神状態が特殊だと捉えてしまうと「自分は大丈夫、ならない」と思ったり「自分は他人を追い込まない」と思ったりしてしまう恐れがあります。ブラック企業で人が自殺する、そこまで行かなくても心を病むまではちゃんと段階があります。故に、速度の差こそあれ誰でも陥るものです。
大事な事なので、もう一度言います。環境が悪ければ心身を壊してしまう事態には誰でも陥るものです。
私がいつも人に勧めるのは、引くタイミングを常に伺った方がいい、ということです。以前にも別エントリー(参考)でも書きましたが、自分の心身がダメだと言っているときは、素直に引いて休むことが大事です。体が壊れたら心も病みます。逆も然りです。病んでしまうと結果が出せないので相乗効果的に悪い方に流れてしまいます。*1
ちなみに、上記のような生活を数カ月、数年経て私が得たものは、『こんなアホなことやったらダメ』という教訓と、『自分にとっての幸せとは何かを考える』という機会だけでした。体は壊しましたし、精神も病んでカウンセリングを受けることにもなりました。給料も特に増えていませんし、社内の扱いも良くはなっていません。
残念なことではありますが、会社員が体を壊したり心を病んでも、誰も責任とってはくれません。俗に敏腕経営者と呼ばれる類の人は、自らがブラック企業で耐え抜いてきたという自負や感覚があるため、上記のようなことで人が壊れるということが本質的に理解できないのです。更に、理解できないから罵倒もしますし、結果が出てないと観て評価を落としたりもします。*2
作戦は『いのちだいじに』これです。ドラクエじゃないんで、一回死んでしまったらもう生き返らないんです。ひとりでも、逃げるタイミングを見失わないようになることを願います。