ワナビに贈るたったひとつのアドバイス
何かひとつ作品を創り上げて公開し衆目に晒そう
もし貴方が芸術的もしくは文学的なジャンルにおいてクリエイターを志望しているのであれば、まず何かひとつ作品として創り上げてみることをお勧めします。
単純なもの、小作品で構いません。ひとつ何かを創り上げると言うのは、これは大変な力と労力が必要です。どんな小さなものであっても。
小説であれば、ワンシーンだけ浮かぶ人も居るでしょうし、音楽ならワンフレーズだけ頭の中にある人もいるでしょう。ゲームであれば一イベント、一アイテム、一システムが思いつくでしょう。しかしそれを形にしてひとつにまとめるというのは、とても難しいものです。まず書き始めてみてください。小説であれば起承転結の骨格を。プロローグの一文を。音楽であればリズムでも大雑把なコード進行でも。どうです? 今までやったことがなかったとしたら、かなり難しくはないですか? 頭の中にある『素敵なもの』は、都合のいい形で頭の中にあります。格好いい台詞も格好いいメロディも、実際に物に落としてみてみたら、違和感はないでしょうか。「思ってたんと違う!」とならないでしょうか。
それまで実際に手を動かしたことがなかった人というのは、「何となくできそう」という感覚に酔いがちです*1。本当はうまくできないのに、想像で「うまくできる自分」「容易く成長する自分」ばかりが育ってしまうわけです。
まず、手を動かしてみましょう。そしてひとつ創り上げてみること。
その段階で、まず「職業としてできるかどうか」「それでもやりたいと思えるか」が解ります。まったく手が動かなかったとしても、剽窃してでもなんとか書き始めてやろうと動けるかどうか。学ぼうと思えるかどうか。なんとしてでもひとつ創り上げることができるか。それができないのであれば、そもそも貴方には仕事としてやっていくには向いていないのかも知れません。できが悪くても安心して下さい。最初はそんなもんです。大抵の人が最初に「うわ! こんなにできないと思わんかった!」って思いますから。その後「上手くならなさすぎワロタ」ってなりますから。そこで「最初の書き出しをどうしたらいいか解らない……辞めよう……」と思うなら、それまでの話です。
さて今度は、そうしてでき上がったものを公開して批評されてみること。
昨今はインターネットが便利ですので、幾らでも公開して感想を得ることができます*2。『小説家になろう』のサイトを初めとして小説投稿サイトは沢山あります。音楽や動画ならニコニコ動画、絵ならpixivと、幾らでも発表の場はあります。
それらのサイトでの批評は素人批評ですので、どこまで信頼に足るかと言われれば疑問符は浮かびますが、それでも「初めて創り上げた」程度のものであれば、かなり的確に評価は返ってくると思われます。何故ならば、細かい批評をするまでもないくらいダメである可能性が高いからです*3。もしかしたら見向きもされないかも知れません。でもそれが貴方の創り上げたものの現段階での「一般受け」なんです。
かなり厳しいことではありますが、そのようにして、自分がどれくらいできないのかを知ることです。そうもしないと、目標とするところに至るにはどういうアプローチをするべきなのかも見えないことでしょう。どうアプローチをすればいいのか解らなければ努力の仕方も解りません。だからいつまで経っても「俺は(私は)やってやるぜ」と嘯くことになるのです。
幾ら頭の中で格好良い台詞やシーンを思いついても、頭の中で素晴らしい音楽が鳴り響いていても、アウトプットしてひとつの作品にしない限り、貴方の出した結果はゼロです。ゼロにゼロを積み続けている訳ですから、永久にゼロです。ワナビがワナビから脱却しないのはそれが故です。
自分がどれくらいできないのか、どれくらい伸びないのかを自分で知ること。それができなければ、永久にワナビ地獄から抜け出せないでしょう。