栗ごはん
子供の頃って、どうしても食が細くて。小学生の低学年くらいまでガリガリだったのよ。
当時は両親共働きだったからおばあちゃんの家でご飯を食べてたんだけど。
おばあちゃん、こりゃなんとかしてやらんとあかんなあと思ったんだろうね。でもおばあちゃんだからあんまりハイカラな料理とか知らないの。で、それでおばあちゃんなりに精一杯だったのが、栗ごはんなのよ。
当時は混ぜご飯なんか大嫌いで、栗ごはんも好きじゃなかったんだけど、おばあちゃんが一生懸命栗をね、栗を剥いてるの見ちゃって。堅いんだあれ。しかも量が多いとかなり面倒。でも黙々とおばあちゃん剥いてる。一生懸命にね。栗を煮るのも一苦労でさ。煮過ぎると崩れるから、鍋をずっと見てる。汗かきながら。
もうそれ観てたら美味しくないとか言えなくて。大好きなおばあちゃんがね、一生懸命作ってくれてるの。だから美味しい、美味しいって言って食べてた。そしたら、言ってるうちに大好きになっちゃったのよ、栗ごはん。
栗ごはんの良さ、伝わるかな、これ。
混ぜご飯が嫌いだったっていうのは、ちょっとした嘘なんだけどね。ただまあ、そのおばあちゃんが栗を剥いてみたいな話は嘘で。っていうか栗ごはん作ってくれたっていうのが創作なんだけど。でもおばあちゃん大好きだったのは本当。
美味しいね、栗ごはん。