じゃがめブログ

毒にはなるが薬にはならない、じゃがいもの芽のようなことだけを書き綴るブログです。

『2匹目のカマス』を求めて

2匹目のカマス*1、という話があります。

1匹のカマスを水槽に入れ、ガラスで区切られた先に餌を置きます。カマスは餌を求めてガラスにぶつかりますが、数度ぶつかることを繰り返すことでダメだと気付きぶつからなくなります。その後でガラスを除けてももう餌のほうには行かなくなってしまいます。
そこに2匹めのカマスを投入します。2匹目はガラスが存在したことなど知りませんので、何のことはなく餌を手に入れます。それを見ていた1匹目は、2匹目と同じように餌に向かうようになるのでした。
――これが、2匹目のカマスの話です。

1匹目がぶつかっていた『ガラス』とは、組織や集団における既成概念や枠のようなものの比喩です。『2匹目のカマス』というのは、組織の内部に既成概念が出来つつあるときに、それを打破する存在のことを指しています。

1匹目が餌を取りにいかなくなるとき

ガラスが無くなったにも関わらず1匹目が餌を取りにいかないのは、何度かの挑戦で失敗を学習してしまい、餌を取ることは出来ないのだ、と誤った事実を覚えてしまったからです*2

それと同じことは、人間社会の中でも容易に起こりうる、と言うよりも起こっています。一番大きな原因は、評価や空気と言った周囲から与えられるものです。一生懸命頑張ったのになぜか評価されないとなれば、モチベーションが下がるのは当たり前です。モチベーションが下がると益々失敗を恐れ面倒くさがるようになります。それを繰り返し、会社に入社して数年で命じられたことだけをやる人員へとなってしまうわけです。

では、そうならないためにはどうするか。それには以下の2点を意識する必要があると思います。

何故評価されないのかを考える
周囲よりも広い視野で捉える

そして、この2点こそが、『2匹目のカマス』を受け入れることで変わる部分なのです。

『2匹目のカマス』を受け入れる

1匹目の目の前で2匹目は悠々と餌をゲットするわけですが、例え話では1匹目と2匹目の間には特に問題はありませんでしたが、これを人間に当てはめたらどうなるでしょうか。自分がやりたかったこと、出来なかったこと、やったけど失敗したことをやって、見事成功して評価されている人が居たらどうでしょうか。一番起こる感情は、嫉妬だと思います。なんでアイツが、と。

その気持ちは良く解るのですが、そこでちょっと立ち止まって考えることで、得られるものがあるわけです。

何故、2匹目は成功・評価されたのか?
何故、自分たちはそこに着目できなかったのか?または着目しても失敗したのか?
他に「出来ない」と思っていたけど実は挑戦できることがないだろうか?

2匹目が現れるときと言うのは、こういった視点を持つことができ、思考のための材料が集まる打ってつけのタイミングなんです。

気分が悪いのは確かにそうですが、そこを少し耐えて気分を変えることで、自分の世界を広げる糧とする。これが『2匹目のカマス』を受け入れる、ということです。

『2匹目のカマス』を投入するための注意

組織を束ねる人間としては、既成概念に組織が蝕まれたときにそれを打破したいと思うこともあるでしょう。そんなときに2匹目のカマスを投入するという考えはあります。ただ、何も考えずに投入すると、まず失敗する。それは何故か。
組織に既成概念が出来るということは、ある意味で安定しつつある、ということでもあります。そこに新参者が現れて組織を掻き乱し、アンタッチャブルだと思われていたことに着手し、目覚しく成果を挙げて評価されたならばどうか。当然、組織は乱れます。前述の通り、既存メンバーは嫉妬し新参者とはうまく行かなくなる可能性もある。またその嫉妬は不信感となって経営者にも跳ね返ってくる。自分を評価しないであいつを評価するっていうのはどういうことだ?と。これは普段は表立って上がってはきません。居酒屋で愚痴として零されるだけです。そういうのが積もり積もって、ある日爆発するのです。

ではそれを避けるためにどうするか。これは1点に集約されると思います。つまり、「何故、新参者が評価されるか」を説明するということです。既存メンバーにしっかりと、何故評価したのかを説明するんです。これはとても重要です。何故なら、既存メンバーからしたら「何故?」が解ってなければ1匹目のカマスのように既存概念を打破できないからです。

経営者や管理者が人を評価するときは、その理由をしっかり部下全体に説明をすること。これが重要で、外せない注意点です。

『2匹目のカマス』を求めて

私的なことですが、最近、色々なものが自分の周りで停滞しているな、と感じます。
こういうときこそ、2匹目を受け入れるという態度ではなく、2匹目を自ら探すことが必要になるのでしょう。既存概念を打破してくれるのは、何も仕事場だけにいるわけではないのではないはず。外に出て色々な視野に触れるのも大事なのでしょう。今は私にとってはそういう時期かな、と思うわけです。

*1:魚の種類です

*2:これはエレファントシンドロームと呼ばれる現象でもあります。興味がある人はググって見てください。