「誰のせい?」が招く思考停止の罠
プロジェクトで問題が発生したときに「誰のせいだ?」「責任者は誰だ!」となりませんか?
もしなった・なっているとしたら、問題に関して思考停止をしています。早めの対処が必要です。
責任者を決定して追及することで問題が解決するということはありません。収束したように見えて、責任者が詰め腹を切らされたことで利害関係者が溜飲を下げているだけです。問題自体は解決していませんし、同様の問題が発生したときにまた同じ状況になってしまいます。
そうではなく、状況や方法・場所など人間以外の部分に原因がある、と考えるんです。状況や方法は変更・改善することができますし、プロジェクトとしての経験を溜めることで次回以降のリスク回避・軽減になる。まずおこなうべきは責任追及ではなく、原因となった要因の洗い出しです。
具体的にどうするか
問題に対して原因究明をする。なぜ起こったのか。その理由に対して原因究明を重ねていく。トヨタ方式の「5回のなぜ」をおこなうと良いと思います。
例えば。遅刻の多いAさんがいたとします。こういうときは「Aさんはダメだ」とか「Aさんを採用したBさんがダメだ」となりがちですが、そこがまず間違い。
まず最初に考えるのは「なぜ遅刻するのか?」です。
Aさんの遅刻が多い (なぜ?)→前日の残業が多く終電で帰宅している (なぜ?)→納期に対して不測の作業が増えている (なぜ?)→Aさんが新規に参入してから引継ぎがうまく行われていない (なぜ?)→引継ぎ資料がない、引継ぎ要因がいない (なぜ?)→引継ぎのためにリソースを割り当てていなかった (ならばどうする)→作業に対するリソース割り当てについて見直す (なぜ?)→Aさんの技術的習熟度が低い (なぜ?)→必要な特殊業務知識について身に着けていない (ならばどうする)→勉強会を開く プロジェクトTIPS集を作る
こんな風に原因と解決法は見えてくるものです。
もちろん、問題の原因はひとつではありません。色々な要素が複合しているので、複数の原因が見えてくることでしょう。ですが、上記のように原因究明していけば、人に依存する問題というのは殆ど無い事に気付くと思います。もし個人能力が劣る人がいたとしたら、その人が悪いのではなく、その人を採用した人が悪いのでもなく、採用されているという事実に原因があるのです。
問題は人の中になく、人以外のものにある。罪を憎んで人を憎まず。マネージャーと名がつく人や管理職の人が意識することで現場改善に繋がるのではないでしょうか。
関連リンク:生産管理講座 - トヨタ生産方式